訴訟回避で女性患者に優しい環境?私が感じるアメリカの医療・病院の仕組み
在米歴は、まだ20年以内と思っていましたが、既に20年以上だったことにようやく気づいた、老いた脳を持つ私(笑)。
ということは、私が日本の病院へ最後に行ったのは30年近く前になると思います。
正直なところ、病院で嫌な思いをしたことが何度かあり、病院嫌いになっていました。
ですがアメリカでは、そんな病院嫌いも改善されるように。
その理由に、アメリカが訴訟大国であること、患者に対する医療・病院の仕組みが徹底されていることが挙げられます。
※以下、あくまで私個人の意見、私が通っている病院でのシステムについてご紹介します。
気遣いが嬉しい!乳がん検診や子宮体癌検査等アメリカの婦人科
私が通っている病院は、地域で最も大きな病院です。
女性専用の大きなセンターでは産科や不妊外来など細やかに分かれていて、一般的な婦人科ではドクター以外の男性は一切立入禁止となっています。
※時間外で医療機器の修理などを行うエンジニアは別です。
私の子宮体癌検査はプライマリーケアドクターにお願いしていますが、婦人科で男性ドクターが検診などを行う場合、必ず女性ナースが付きそう決まりとなっています。
ナースが人手不足の場合は、受付か秘書の女性が駆り出され、絶対に患者と男性ドクターの2人だけとしないのだとか。
また婦人科では、乳がん検診のメモグラフィ(日本語ではマンモグラフィ)とウルトラサウンドも含まれており、乳がん検診のドクターは全て女性。
アメリカではそういった病院が多いそうで、女性が安心できる環境作りにこだわっているそうです。
もちろん、病院は訴訟がとても多いため、その予防でもあるのでしょう。
乳がん検診では医師の触診ではなく自己チェック(Self-Exam)が基本
10年くらい前のことですが、日本の友人から乳がん検診がつらかったという話を伺いました。
メモグラフィ前に触診された上、インターンだか複数の人が既にいたのだとか。
アメリカでは基本的に、乳がん検診を定期的に受ける年齢を40歳以上としていますが、40歳以下の人にも1~3年毎の検診が推奨されています。
ですが私が通う病院では、原則として乳がん検診でドクターが触診を行うことはなく、触診は毎日の自己チェックで行うことが基本とされています。
自己チェックにより、しこりやかゆみ、皮膚の変化などが見つかった場合や、成長期に加え遺伝的なリスクが考えられる場合は、保護者やナースがいるそばで触診を行うこともあるそうです。
ただし私のドクターによれば、「触診より明らかにメモグラフィやウルトラサウンドのほうが的確」とのこと。
また大きな病院によっては、教育実習の一環として、インターンや実習生などを診察室に入れてもいいかどうかを聞かれることがあります。
患者には“No”と答える権利があることも覚えておきましょう。
ちなみに、乳がん検診での触診について、以下のサイトでドクターの適切・不適切行為について紹介されています。
Doctors & Sex Abuse: What patients should know about breast exams (ajc.com)
残念ながら不適切なドクターもいること、患者がそういった行為を熟知していないケースもあることから、理解すべき最低限のことがまとめられています。
以下、適切な乳がん検診の触診についての部分のみを簡単に意訳してみました。
●検診は個室で行われること、患者が座ってから始めること。
●診察用のガウンは腰上のみでOK(下まで脱ぐ必要なし)、またドクターやナースなどのサポートが必要でない限り、ドクターが着替えを目にすることは厳禁。
※私の病院でも、ドクターやナースの前で着替えをさせられることは一切なく、婦人科には着替え室が設けられています。
●どの検査でも異性ドクターの場合、地域により立会人をたてることが義務付けられています。
※私の病院でも必ず立会人が付きます。
●ドクターは、乳がん検診の触診前に肉眼でのチェックを行いますが、チェックしない部分はガウンで覆っておきます。
両胸をはだけておく必要は全くありません。
※私の病院でも、必ず伝えられます。
●触診では、ドクターが患者の背後に座って検査するのは不適切であり、患者に不快感を与えないよう目前にいることが基本です。
●ドクターが患者に、検診とは無関係の質問をすることは厳禁。
●検診についてのフィードバックは歓迎されているため、患者は検診で不快に感じた場合、告白することが大切です。
※私の病院でも、ドクターの診察後は必ずEmailにてフィードバックを尋ねられます。
問題もあり?マニュアル通りに虐待も徹底して重要視する救急
知り合いに救急のナースがいますが、彼女によれば、金曜日の夜は救急が大忙しだそうです。
週末ということで、人によってはそれまでの我慢から暴力的になることがあり、特に女性や子供が運ばれた場合、虐待を疑うとか。
場合によっては、ソーシャルワーカーが子供や女性に質問をすることもあります。
弱者の保護はとても有り難いことですが、中には嘘をつく子供などもいないとはいえず、なかなか判断が難しいようですね。
アメリカでは大きな問題の1つといえ、裁判も絶えず行われています。
日本の医療現場で人手不足に加え女性医師がとても少ない現実
訴訟の回避策とはいえ、私が通う病院が女性患者に優しい環境であることは、本当に有り難く思います。
日本でも同じように願いたいですが、日本の医療現場では人手不足の上、世界的に見て女性ドクターが非常に少ないそうですね。
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、加盟国中で日本の女性ドクターの割合は常に最低レベルのようです。
●OECDによるドクターについての調査…Doctors (by age, sex and category) | Health at a Glance 2021 : OECD Indicators | OECD iLibrary (oecd-ilibrary.org)
ただし日本国内では、女性ドクターが増加傾向にあるとか。
今後ますます女性ドクターが増えること、女性ドクターが働きやすく、女性患者が求める理想の医療環境となることを願いたいです。
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